スピンオフ作品

ハカイダーに焦点を合わせた作品

キカイダーという作品の中にも主人公たるジローことキカイダー以外に、人気を集めたキャラクターは存在する。その中には正義ではなく、悪の組織に属しているロボットだ。悪役はヒールであればあるほど好まれやすいと思っている、ただの思いこみみたいな部分はあるかもしれないが、今作における『ハカイダー』も何気に評判が良かったほうだ。

元々はキカイダーを倒すためだけに作られたロボットだったが、後に悪の組織に捕まった光明寺博士の脳みそを移植したことにより、擬似的でありながらも光明寺博士としての人格が後に芽生えるようになるのが特徴の一つ。かと言って光明寺博士本人ではない、キカイダーにしてみればハカイダーを攻撃することは間接的に博士を殺すことになるので、実質的に人質として扱われていた。ただそれも脳を移植したことによってハカイダーに与える電気信号が博士のものとなったことにより、キカイダーを倒しながらも助けるといった描写が見られるのだ。そのことに気づいた悪の組織によって脳みそは取り除かれて、最終的に首領だったものの脳みそを与えられたことにより、完成された悪として起動するしかなかったのです。

そんなハカイダーですが人気と作者からの評判もあって、1995年に彼を主役に置いたスピンオフ作品が公開されます。タイトルは『人造人間ハカイダー』という。ちなみに、同作は石ノ森先生が生前において最期、特撮映画を撮影した遺作としても名高いため、亡くなられた後の貴重な作品としてもファンの間では有名な話だ。

人造人間に憧れるあなたへ

作品概要として

悪役を主役に据えたハカイダーですが、作中におけるハカイダーとキカイダーを主役に置いた本編とは全くの別物であるということを念頭に入れなくてはならない。原作者の取り組みにより、『ハカイダー』という名前から連想出来る物語の特徴を据えたことにより出来上がった、スピンオフというには少々性質も異なる作品観となっているのが一番の醍醐味だ。生前最後の作品となっているので、石ノ森章太郎先生が築いた力作に期待もした人も多いでしょう。

主人公として活躍するハカイダーですが、どちらかと言えばダークヒーロー的な存在で描かれているため、正義の味方とは言いがたい言動が度々ちらつきます。それもそのはず、ハカイダーという名前が意味する通り、最初は敵側に作られたロボットというのは今作においても本編と共通しているからだ。

アンチ・ヒーローとして

元は作中におけるジーザスタウンの治安維持を目的に作られたロボットだったが、どんなことをしても制御不可能であり、破棄される予定だったところを科学者数名により持ち去られて絶海の孤島にて眠っていました。そこへトレジャーハンターをしている数名の泥棒たちが侵入したことにより覚醒、トレジャーハンターたちを皆殺しにすると自身を創りだしたジーザスタウンへと向かうのです。復讐をしたいのかと思えば、殺す価値の無い存在はそのまま放逐しても構わないという考えを持っている辺り、ダークヒーローという要素がよく似合っています。

謎な部分として

一つ気がかりな部分としては、ロボットでありながら人間の感情が理解できる描写が存在していることだ。科学者たちが自分たちの研究をするためにさらい、原作でいうところの良心回路に似た感情プログラムを作成したのかもしれませんが、結局明かされることがないまま物語は終わってしまいます。スピンオフかつオリジナル作品としてのテイストが強いので、原作を知らない人が見てもわかりやすいという点があるのは良いところかもしれません。

ただ作品との時系列を求めたら、やや難しいところが多い。

ロボット最高!

とにかく強すぎる

一言で今作を総評するなら、とにかく敵味方という概念に関係なく、ハカイダー以外は次々と死んでいきます。悪の組織を束ねるボスも最後はハカイダーのパンチを一撃食らっただけで即死という末路を迎える。そもそも、今作では本編であまり強さを発揮していないように見えるハカイダーが、実際に戦闘をしたらどの程度強いかを証明するために作られたと言っても見える。

事実、島に入り込んだトレジャーハンターたちも問答無用で皆殺しにしている辺り、慈悲も情けもないところがクールと仰る人もいるでしょう。ですが人間としてきちんとした信念を持った人には好意的に接する辺り、作品の中ではより人間らしい感情を持ったロボットといった表現が適切かもしれません。逆に言えば作品内に出てくる人間全てがあまりに欲望という本能に忠実すぎる部分が強調されているせいで、露骨過ぎるのではとも思わなくもない。

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