キカイダー02とは何か

リメイク版も発売され

キカイダーの内容には意見を呈する人もいるでしょうが、作品としての完成度はそれほど悪いものではないでしょう。色々調べてみると、確かに1970年代という時代であれば斬新な世界観に圧倒される人も多いでしょうが、そうではないと感じる人も少なからずいるものだ。そのせいもあるのか、現代になるとキカイダーの作中で繰り広げられている内容には矛盾を感じると、そう断言する人もいる。またリメイクのし過ぎで物語に新鮮さがなくなってきているといった意見も多い。

中でも『キカイダー02』という現代版のキカイダーに対しては、何かと批評的な意見が集中しているのだ。どうしてかと見ると、物語の内容と連載スピードにバランスが取れておらず、最終回で披露して欲しかった伏線についても消化不良とばかりに表現の限界に到達しているのが難点となっている。人気があり、かつこれまでと変わらない往年の作品を何度目かのリメイクとしたは良かったが、駆け足になってしまった辺りが残念だとする意見も多い。

もちろん好意的に捉えている評価もある、個人的にも確かにそういう見方になればこういう判断にもなるだろうという感想を持った。そもそもキカイダー02において主人公はキカイダーことジローではなく、これまでの作品でヒロインだった『光明寺ミツコ』の視点によって物語は動いています。作中における、キカイダーを創りだした光明寺博士の娘であり、英才教育により父譲りのロボット工学に精通した頭脳の持ち主として否応なく戦いに巻き込まれていってしまう。

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REBOOTによく似ている

ヒロインとして描かれているミツコですが、REBOOTという現代版キカイダーにおいては父である光明寺博士が行方不明になっても何とも思わなかった。家族との時間を取らなかった冷酷さに身内と認めず、父のせいで狙われることになったのも不名誉だと感じていたほど。ただ技術的には父譲りだったこともあり、キカイダーの修理などに役立つ場面を見せているのも一つの描写だ。これはどの作品にも少なからず共通していますが、キカイダー02においてはその表現がより濃厚になっています。

作中では『女フランケンシュタイン』などと呼ばれるほどのロボット工学に優れた才女として知られているものの、内心ではやはり父に対してどこか諦めにも似た感情を持っていたようだ。その原因たる存在としてあげられるのが、これまでの作品で取り上げられることのなかったミツコの兄であり、既に亡くなっている光明寺家の長子だった『光明寺一郎』という存在についてです。兄としては見ているものの、彼のせいで父は狂うようになってしまったと考えるくらいになっていたのだから、確執という溝は底知れぬ深さがあったのかもしれません。

今作では

光明寺博士はロボット開発に着手するも、悪の組織からの資金援助などで積極的に開発を進めていた。けれどその背景に自身が意図していない計画が進行しているのを察知して、キカイダーに良心回路という心を埋め込みます。それもまた原作において必要な表現だったものの、キカイダー02においては息子が亡くなったことにより、偏執病により精神に異常をきたし、子供を失った世界を破壊しようという黒幕に至ってしまった。

原作たる特撮版の方では脳こそ悪用されるものの、最終的に元に戻ることになるが、キカイダー02においてはキカイダーにとって生みの親たる光明寺博士を倒さなくてはならない。前者は敵対するが最終的には自身の創造者として関係を元に戻し、後者は自分たちの生きる世界を守るために討たなくてはならないとは皮肉な話だ。

何より悲劇だったのが、良心回路の完成版を取り付けられたことにより、明朗な意思と人格が芽生えてしまったことか。それにより、より苦しむ結果となり、挙げ句の果てにはミツコと永遠の別れをする羽目にもなってしまいます。

ロボット最高!

最終的には

機械が心を持つことによって生じる痛みを描き出したキカイダー。その世界観をあえてホラー気質めいた内容にすることで、ある種の別作品に仕立てあげたといっても過言ではないでしょう。ただそれが故、見せ場となる善と悪の感情に苛まれながらも、自分自身が求める答えを得るために葛藤する姿にこそ人間めいた魅力を感じるのかもしれません。それこそ終劇近くになった場面で語る、

『ピノッキオは人間になれて本当に幸せだったのか』

という台詞は考えさせられる。

童話のピノッキオは人間になろうとする彼自身の意志と、彼を創りだした人形師のおじいさん自身の二人が望んでいた。善行をしていれば人間になれる、けれど悪心に満たされれば相応の罪を背負わなければならない。キカイダーにしても人間になりたいと考えるが、最終的にそれを否定する形で自分自身の戦いを繰り広げていく。どう作品を展開しても、キカイダーが行き着く先はあまりに悲惨な最期しかないのかもしれない。

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