キカイダーについて

往年の作品をリメイクした理由とは

キカイダーREBOOTはご存知の通り、1970年代に放送され、同時期に放送された仮面ライダーと並んで人気作と称され、コアなファンが多く支持している作品だ。世代ではない人にしたらこの作品が既に日本で作られていたものをリメイクしただけ、そう考えると改めて原作者である『石ノ森章太郎先生』の凄さを実感するでしょう。今から45年以上の前にこれだけの斬新な設定を孕んだ作品を生み出していたのだから、日本を代表するというのも頷けるはずだ。事実として、作品の作りこみは長年愛し続けているファンの間でも比較的高評価を集め、次回作がもしあれば見てみたいと言われるほど。ここ近年の映画は何かと続編を匂わせる最後となっているので、可能性としては0ではない。

では改めてキカイダーについて話をしてみたいのだが、個人的な意見として同作品を見て思ったのは『ヒーローが善悪の間で苦しみ、悩んでいる姿がピックアップされている』という点だ。主役はもちろんキカイダーことジローなのだが、悩むとは言っても本来彼はロボットであり、人間の感情を理解することが出来ない。それを可能としているのが本作品の重要なポイントとなる『良心回路』なる、彼が持っている心を司るシステムだ。心、そう呼ぶにはまだまだ幼く、人間というものがどのようなものなのかを理解するには不完全な状態となっています。

創造されてからまだ日も浅いため、心を養うために彼はヒロインとその弟を悪の組織から守るという展開になりますが、そもそもキカイダー自身がその悪の組織に作られた『手先』だというのを忘れてはならない。これは同じ原作者であり、そして共通したテーマを孕んでいる『仮面ライダー』にもよく似ている展開だ。

人造人間に憧れるあなたへ

キカイダーと仮面ライダーの違いとして

作られた当初はただプログラムされた保護対象を守るために起動し、ヒロインたちと共に行動していくキカイダー。その道中で心を養っていくわけですが、彼がしたいと思っていることと彼に本来与えられている目的は決して分かり合うことの出来ない相反するものだ。そのため自分という存在を傾けた場合に、善と悪、どちらに比重をおくことで自分の正当性を示せるかという心を持つ機械ならではの悩みが演出されています。

これは一重にキカイダーが『無』から出来ているからこその心の動きであって、元となる媒体に何かしらの素養が存在しないからこその苦悩だ。逆に言えば、元は人間だったところを悪の組織に無理やり改造人間化されてしまったがため、その復讐に燃える初代仮面ライダーと見比べると大分趣は異なってきます。前者は善悪云々ではなくただただ『秩序』という天秤に乗ってどちらに傾くかが試され、後者は『正義こそ絶対である』として、肯定的に復讐という枠から悪の組織と対決する仕組みだ。

まだ幼い子供がここまで深読みすることはなくとも、大人になると社会で見かける矛盾にもよく似ている気がします。だからこそか、キカイダーを見ていると本来正しいことをしなければならないのに、時には間違っていると糾弾されてしまう行動を取らなければならないことがあるものだ。

正義と悪、天秤の重さ

こうした点が仮面ライダーとも大きな溝を創り出している点といえる。仮面ライダーなどのヒーロー物でいうところの悪の組織とは、何をするにしても現代社会に害悪をもたらすしかない存在だ。なので『絶対悪』と定義することにより、仮面ライダーが『絶対正義としてのヒーロー』と認識するのはとても簡単なことです。だからこそか、世代を超えて愛される作品として完成された仮面ライダーは言ってしまえば、単純明快なわかりやすさがウリだ。

それに反してキカイダーという作品を見ると、大人社会独特の殺伐とした空気すら感じるほどの矛盾と苦悩が垣間見えます。人気を集めていくと見えてくる物語が織りなす現実の厳しさは、当時見ていた働き盛りの世代の人々にとっては、何気に心に重くのしかかる部分もあったのではないか。それをREBOOTでも再現している辺りが凄い、単純な特撮ではなく、ただ善と悪と割りきって考えるだけではいけないといった雰囲気が立ち込めるところが、この作品の醍醐味と言えます。

人口AIに心をもたせるべきか

劇場作品もそうですが、原作においても機械に心を持たせるという行為について考えると、疑問を持つ人もいるはずだ。現代技術もまもなくロボット技術確立という域に到達しようとしている、正直信じられないとも思っている。可能性はあったかもしれませんが、ここまで来ると現実味も増すというもの。開発に着手する動きが出てくれば作品内における『ロボットに心をもたせるべきか』という難問にも出くわすでしょう。

正直どのような答えが正論か邪論かと議論するなら、恐らく決着は付かないでしょう。どちらも正しく、どちらも間違っているからだ。その矛盾こそが人間の感情であり、そうした善と悪という思いに苦しめられてしまうのがキカイダーとなっています。

ロボット最高!

活劇とは言いがたい

こうして考察すると何気に現代のロボット学にも繋がる部分があって中々興味深い題材だ。そしてこの特徴はアメコミなどに見られる雰囲気にもよく似ていることもあり、ハワイの人々から熱烈な支持を受けているのも頷けるというものです。

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