サイボーグ009

石ノ森先生の代表作として

キカイダーなどを始めとしてあらゆる作品を原作として持ち合わせているスター作家としてその名を馳せた石ノ森章太郎先生にとっても、自身にとって代表作と呼ぶべき作品は存在します。その一つに仮面ライダーも当てはまりますが、本人曰く漫画家として枠では何より『サイボーグ009』こそが代表的な作品だと定義しています。筆者が初めて同作に触れたのは00年代に放送された現代版にリメイクされた作品からだ。それまでは旧いアナログな映像でしか見たことがなく、ストーリーも大まかに理解していなかった。

その頃からだろう、同作品が発表されたのが1960年代という時代だという点を現代で再現しても遜色ない面白さになる、という点を証明させられた時には驚いたものです。そこでやっと石ノ森先生がどれだけ凄い人なのかを知るきっかけにもなり、ある意味では転換期だったのかもしれません。

サイボーグ009を見ているとやはりキカイダーと見比べてしまいます。同じ原作者の世界観でありながら、機械の身体を持ちあわせていながらも一方は無から作られ、もう一方は人間を素体として作られたものだ。違いは当然天と地ほどの差があるものの、今作はどちらかと言えばキカイダーに繋がるような哲学的な内容となっています。周囲の人達による偏見や嘲笑、仲間だと思っていた人たちからの裏切りに遭遇し、果ては自分たちが人間なのか機械なのか、それらの悩みにもがき苦しみながらも世界を平和にするため戦い続けるという、自己矛盾に苛まれ続けるのです。

言及はされていないが、キカイダーの世界観もこうした部分が影響を及ぼしているのかもしれません。

人造人間に憧れるあなたへ

裏話として

代表作と自身が言うだけあってそれだけの思い入れがあるとおもいきや、蓋を開いてエピソードを見てみようとは好奇心旺盛がアダとなる場面もあります。それこそこの作品を制作するにあたっては色々あったらしく、その時期は先生がスランプに陥っていたとのこと。そのため気分転換も兼ねて世界旅行へと旅立つ事になったというが、この時に出版社から借金をしていったというのです。借金、というよりは取材旅行と表現したほうがいいかもしれません。事実、この旅行があったからこそサイボーグ009という作品が生まれているのです。

それを意味するように、9人のサイボーグ戦士たちの出身地は実際に先生が訪れた地域なのだ。日本出身の009は除くとして

これらの地域に先生は訪れたのだ。008のアフリカに関しては大分範囲が広いためどこの国に足を運んだかは定かではないにしても、3ヶ月という時間を掛けて各国を回ったおかげで日本で、現代まで語り継がれる代表作になっています。根強いファンもいれば、現代版にアレンジされた作品から虜になったという人もいるでしょう。

旅行する経緯は色々あったかもしれませんが、作品として完成された後に対する先生の思い入れも半端なく強かったとのこと。

極力自分で作るように

石ノ森先生がこうした作品を作るようになったのも、一重にこれまでとは違った世界観の作品を作りたいから、これが原動力になっているとのこと。理由はもう一つある、それまでに発表してきた作品がかなりマイナーな、先生が描きたいものに特化しすぎたせいもあってエンターテインメント性の欠けた作品になってしまったというのが大きいという。だからこそのスランプだったのでしょう、自分の作る作品が思うように受け入れられず、スター作家と呼ばれるまでに時間が掛かったことを暗に意味しています。

特撮の原作で有名になる以前に、漫画家としての代表作に欠けたという点では本人も意識していた部分だったのかもしれません。ではもし、サイボーグ009が誕生していなければどうなっていたのかと考えると、最悪の結末しか想像できない。その点は、なるべく考えないようにしよう。

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プロ意識を持って

思い入れが強いからこそ、自分自身でしっかりと描いていきたい、そんな意識を持ち始めたことから、サイボーグ009は代表作であると同時に自身が『プロ作家としての誇りと自覚を持って執筆する』という意識に芽生えた作品だと故障している。一般の読者層向けに愛される作品を作るというのもなかなか難しい話だ、ただそういう点を考慮すると現時点で週刊誌などに掲載されている代表的な少年向けコミックの世界観は誰もが理解しやすい難解なものではない。

そうした世界を好む人もいるでしょうが、当時はまだ単純でわかりやすく、何も考えずに熱く楽しめる作品がいいと求める人が多かったのかもしれません。そういう視点で見ればサイボーグ009の成功も頷けます。

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