苦悩する場面では

石ノ森章太郎テイストで構築された世界観

先生の作品に見られる、『力を授けたものを裏切り、野望に対して孤独な戦いに身を投じていく』というテーマ性を孕んでいる。サイボーグ009もそれに例を見る作品として見られています。言ってしまえば仮面ライダーなどとも共通している。ただ今作では孤独というよりは、まだ9人と開発に携わりながらも罪悪感から匿う決意をした博士の計10人というレジスタンスといった見方が正しいかもしれません。悪の組織が行う犯罪をみすみす見過ごせないとして活動しながらも、彼ら自身は人間であり、時にサイボーグとして戦わなくてはならないことの葛藤なども描かれている。

中には元に戻りたいと考えているのではないか、といった描写も目立つこともあり、作品を見ているとやはり石ノ森先生の作品だけあると痛感させられます。一つ残念なことがあるとすれば、先生が亡くなってしまったためにサイボーグ009を先生自身で完結させられなかったという点だ。

そんな世界に登場する登場人物もさぞ苦労しているだろうと思われますが、今作を見たときに思ったのは予想以上に改造されたことを根に持っておらず、むしろ普段よりも楽しく日常を過ごしているのだろうという印象があった。

人造人間に憧れるあなたへ

サイボーグ戦士たちの日常

キカイダーではジローが善悪の天秤に苦しめられ、人間になりたくても人間になりたくないと訴え、更にいえば機械にもなりたくないという矛盾に襲われている。それに対してサイボーグ戦士たちは結果として人間ではなくなったものの、それでも自分たちが機械の体を持ってはいるが人間だという自覚を強く持っている。それこそ戦士として活動していない場合はそれぞれの日常を謳歌しているほどにだ。

この点はキカイダーとは大きく違っているところだ。どんな日常を送っているのかというと、具体的にはこのように過ごしている。

戦士たちの日常

009の場合

戦士たちのリーダ格である009こと島村ジョーは、普段は日本でギルモア博士の助手をしながら、雑誌社でライターとして出入りしているという。また戦士として改造されたものの、生身の部分も多いことから生殖機能も生きており、後の世には子孫を作り出すことも出来たと言われているほどだ。一方では四輪レーサーとして活躍するなど、人間らしく生活をしている。

001の場合

脳を異常なまでに改造されたため、普段の生活スタイルから成長しない001ことイワンも戦闘がない場合は普通の赤ん坊として生活している。

002の場合

アメリカ出身の002、ジェット・リンクは普段NY市に住んでおり、レーサーをしながら不良少年の更生などに助力している。自身がそうした背景を持っていることから、そんな風に荒れず、至極平凡な生活を送れるようにと活動している。

003の場合

バレリーナとして活動している003、フランソワーズ・アルヌールもまたフランスで改造される前と同じように生活している。時にイワンの世話をするなどしているものの、戦士ではない日常ではその能力が故に聞きたくないものを見るなどの苦痛はあるものの、全てを受け入れている。またサイボーグ戦士の中で一番改造された場所が少なく、後世にはジョーとの間に子供も出てきている。

004の場合

004、アルベルト・ハインリヒもまた生前と変わらぬ生活を過ごしている、普段はドイツで長距離トラック運転手となっているが、手のマシンガンアームを隠すために1年を通して長袖を着ていなければならない。

005の場合

005であるジェロニモ・ジュニアは、アメリカで戦士としての力を思う存分、そしてばれない範囲で活かせるように高層ビル建設現場の作業員として働いている。正直一番仕事が似合いすぎていると思ったキャラだ。

006の場合

張々湖という名前を持つ006は、メンバーが戦士として活動する際に資金が出来るようにと日本で中華料理店を営んでいる。それに007も経営に加わり、更に他のメンバーたちも店の手伝いをするなどして経営は至極順調にはかどっているとのこと。

007の場合

グレート・ブリテンという名前を持つ007もまた、サイボーグ戦士により授かった能力を日常に活かして生活している1人。その変身能力を利用して舞台役者に復帰した後は、大活躍を果たしているとのこと。ただあまりに早着替えこと変身するため種はどうなっているのかと説明を求められたりするなど、ある意味では一番危ない立場に置かれやすい。

008の場合

008であるピュンマは、他の8人と比べれば過激派といってもいい活動をしている。自国の経済バランスが良くないのか、反政府体制に協力したりと、何かと自分の存在を公にしかねない活動を行っている。ただそればかりを仕事にしているのではなく、密漁取締官などの自然を守ろうとする考えを持っているなど、正義感に突出した志を持っている。

ロボット最高!

キカイダーに比べれば

サイボーグ戦士たちは自身の境遇にこそ絶望こそすれど、彼ら自身が人として生活していく分には申し分ないほど満たされていると見ていい。何せ人として満足に暮らし、謳歌しているのだから。それこそジョーは戦士になる直前は少年院に入っていたほど。これまでの境遇から逸脱できたという点においては他のメンバーと遜色ないほどに満たされているでしょう。

こうした点から見ても、キカイダーのように重苦しくない世界観が繰り広げられているので、見やすいと捉えている人が多い。

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